ファーを使用するときのレンダリング設定について書いてみたいと思います。
ファーマテリアルを使用するとノイズやチラツキが発生しやすくなります。メッシュが密集するのが原因ですが、以下の設定を変えることで改善します。
- 「間接サンプル」「放射照度」「反射サンプル」などサンプル値を高くする
- アンチエイリアシングを高くする
サンプル数
タイムラプスで使用した草を使って、どのサンプルがどの要素に影響しているか調べました。まずはmodoのデフォルト設定、「間接照明」の「跳ね返り」は 2 です。
デフォルト
アンチエイリアシング : 8サンプル/ピクセル
シェーディング率 : 0.5
間接サンプル : 64
放射照度 : 256
300%にズームした画像です。ファーの表面でノイズが多いのが確認できます。
シェーディング率
念のため「シェーディング率」を0に設定してレンダリングしてみた。
アンチエイリアシング : 8サンプル/ピクセル
シェーディング率 : 0.0
間接サンプル : 64
放射照度 : 256
シェーディング率の記事で書いた通り、「シェーディング率」を低く設定してもノイズへの影響は少ないです。
放射照度
GIノイズに影響する「放射照度」の値を上げてみます。
アンチエイリアシング : 8サンプル/ピクセル
シェーディング率 : 0.5
間接サンプル : 64
放射照度 : 512
「放射照度」は白い平面のノイズには影響がありましたが、ファーの表面のノイズに影響がないことがわかります。
間接サンプル
「間接サンプル」の値を上げてみます。
アンチエイリアシング : 8サンプル/ピクセル
シェーディング率 : 0.5
間接サンプル : 256
放射照度 : 256
ファーの表面のノイズが改善されました。ファーのノイズの原因は「放射照度」よりも「間接照明」の「間接サンプル」がより影響することがわかりました。
アンチエイリアシング
ファーの形状は「円柱」と「ストリップ」が選択できます。草の場合は厚みのない「ストリップ」を使うんじゃないかと思います。
ですが「ストリップ」を使用するとカメラとポリゴンが垂直になるファーが、破線のようにとぎれてレンダリングされることがあります。板ポリゴンをカメラに垂直の位置でレンダリングすると、厚みがないのでレンダリングされないのと同じような問題です。ファーの場合は多少曲がった形状になることが多いので、アンチエイリアシングのサンプル数を上げることで改善します。
アンチエイリアシング : 8サンプル/ピクセル
アンチエイリアシング : 16サンプル/ピクセル
アンチエイリアシング : 32サンプル/ピクセル
アンチエイリアシングはファーが細い場合にも効果的です。厚みのないファーが V-Ray Fur で廃止されてるらしいのは、やはり途切れてレンダリングされてしまうからなのかな?
フレームパス
ファーを最も綺麗にレンダリングする最終手段として「フレームパス」があります。「フレームパス」は同じフレームを複数回レンダリングして合成することで、ファー、モーションブラー、被写界深度を柔らかくレンダリングする機能です。とても効果が高いですが、レンダリング時間が長くなります。
フレームパス : 2
ファーのランダムシードを変えてレンダリングして合成するような動作なので、ファーの量が多くなってる。
フレームパス : 4
ファーのレンダリングに何が影響しているのかがわかれば、効率的に設定を詰めることがでるようになると思います。
次回はファーのレンダリング設定をふまえてヘアーマテリアルをレンダリングしようと思いましたが、ガイドをダイナミックカーブで動かそうとすると、modo 10以降は計算が変な気がしますね。