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Unreal Engine 5.5 リリース

Unreal Engine 5.5がリリースされました。UE 5.4に続きキャラクターアニメーション関連の機能強化に力を入れているように見えます。

https://www.unrealengine.com/ja/blog/unreal-engine-5-5-is-now-available

 

Unreal Engine 5.5 がリリースされました

Unreal Engine 5.5 がリリースされました。幅広いツールセットで機能強化が行われています。このリリースでは、レンダリング、カメラ内 VFX、デベロッパーのイテレーションなどの分野の数多くの機能がプロダクション対応になった一方で、新たなイノベーションによって引き続き限界に挑戦しています。一方、UE5 のエディタ内アニメーション オーサリングとモバイル ゲーム開発ツールセットにも大きな進歩がありました。この記事では、そのいくつかをご紹介します。この記事では、そのいくつかをご紹介します。

 

アニメーション

UE 5.5 では、エディタ内での高忠実度のアニメーション オーサリング ワークフローを容易にする新機能と拡張機能の提供、コンテキスト内におけるアニメート、DCC アプリケーションとのラウンドトリップが必要となる場面の減少を実現しました。アニメーション ゲームプレイ オーサリング ツールセットにも追加機能があります。

 

シーケンサー

このリリースでは、Unreal Engine のノンリニアアニメーション エディタであるシーケンサーの大幅な強化、フィルタリングの改善とプロパティへのアクセスの容易化によるインターフェースにおけるコントロール性の向上、ワークフローの疲労軽減、生産性の向上を実現しました。

また、ビルドを破壊しないアニメーション レイヤーも追加されました。それにより、これまでは従来の DCC アプリケーションでしか実現できなかったさらなる制御が可能になり、柔軟性が向上しています。また、これにはコンテンツの簡単な管理、加算またはオーバーライドの選択、これらのレイヤーのウェイトをアニメートする機能も含まれています。

 

最後に、インタラクティブ シネマティックス中のプレイヤーの選択に基づく条件付きステートの変更や、ゲームプレイ シネマティック内でのオブジェクトのより微妙な制御を行えるカスタム バインディングなど、さまざまな動的なシネマティックス シナリオをインタラクティブにトリガーするように設定することが簡単になりました。カーブを使用してシーケンスのタイミングをワープしたり、サブシーケンスまたはショットの原点を再配置したりすることもできます。

 

アニメーション デフォーマー

コントロール リグ内に新しく追加されたアニメート可能なアニメーション デフォーマーにより、シーケンサーのキャラクターに対してアニメーション エフェクトをワンクリックで簡単に適用できるようになりました。これにより、接触変形やさらに優れたカートゥーン スタイルの押し潰しと伸縮など、よりリアルなアニメーション エフェクトを作成できるようになります。

 

モジュラー コントロール リグ

さらに、モジュラー コントロール リグは多くの UI と UX の改善、新しい四足歩行および車両モジュール、一般的な二足歩行のスケルトン タイプがサポートされるようになり、ベータ版に移行しました。一方、スケルタル エディタはウェイトのペイントと編集のワークフローがより迅速でシンプルになるなどの改善が加えられ、プロダクション対応になりました。

 

MetaHuman Animator

Unreal Engine 用の MetaHuman プラグインの一部である MetaHuman Animator も、このリリースで大幅にアップグレードされています。実験的機能として導入されましたが、オーディオ パフォーマンスのみから、顔の上部のジェスチャーの推測を含む高品質のフェイシャル アニメーションを生成できるようになりました。完全にローカルなオフライン ソリューションで、さまざまな音声と言語で動作し、他の MetaHuman Animator 入力と一緒にバッチ処理およびスクリプト化できます。

 

Mutable キャラクター カスタマイズ

Mutable キャラクター カスタマイズ システムが追加されました。実行時に動的に変化するコンテンツを必要とする方におすすめです。このシステムを使用すると、メモリ使用量を最適化し、シェーダー コストを低く抑え、ドロー コール回数を減らしながら、キャラクター、動物、小道具、武器などの動的なスケルタルメッシュ、マテリアル、テクスチャを生成できます。

実行時にコンテンツを変更するネイティブ ツールとは異なり、多くのパラメータとテクスチャ レイヤー、複雑なメッシュのやり取り、GPU に適さないテクスチャ エフェクトを伴う詳細なカスタマイズが可能です。

Mutable の機能については、今後数日以内に公開される、対応するサンプル プロジェクトでご確認いただけます。

 

チューザー

さらに、チューザーがプロダクション対応になります。この強力なゲーム コンテキスト アセット セレクタに、複雑なロジックを記述することなくゲーム コンテキストに基づいて再生するアニメーションを選択可能なフレームワークが追加されました。それにより、ほぼすべての種類のアセットを選択できるようになりました。単純なランダム セレクタから、数千のアニメーションを含むデータベース駆動型ロジックまで、複数レベルにまたがって対応可能です。

これらの機能は、更新されたゲーム アニメーション サンプル プロジェクトで試すことができます。

 

 

レンダリング

レンダリング面では、革新的なリアルタイム レンダリングで業界をリードするという目標を維持しながら、UE5 のパフォーマンスと忠実度を向上させるという約束を変わらず守っています。

 

Lumen

ハードウェア レイ トレーシング (HWRT) の基盤となるシステムに多くの改良が加えられました。それにより、Lumen はハードウェア サポートがあるプラットフォーム上で 60 Hz で実行できるようになりました。これらの改善により、パス トレーサーとライト ベイクのパフォーマンスと機能にも影響があります。

 

パス トレーサー

パス トレーサーに関しては、DXR で高速化された物理的に正確なプログレッシブ レンダリング モードがプロダクション対応になりました。それにより、非線形アプリケーション用の最終ピクセルやフル機能のグラウンドトゥルース参照画像を、品質面で妥協することなく作成できるようになりました。このリリースでは、一連のパフォーマンスと忠実度の改善、Linux のサポート、および空の大気やボリュメトリック クラウドを含む、その他すべてのプロダクション対応の機能のサポートが含まれています。

 

Substrate

一方、Unreal Engine 5.2 で実験的機能として導入されたマテリアル オーサリング フレームワークである Substrate は、ベータ版に移行します。UE がデプロイされるすべてのプラットフォームと同様に、レガシー マテリアルのすべての機能がサポートされるようになりました。Substrate をリアルタイム アプリケーション向けに完全に最適化する作業が進行中ですが、この度非線形マテリアルの制作に完全に対応可能になりました。これにより、ビジュアル開発担当者はその強力で柔軟なフレームワークを活用して、オブジェクトのルック アンド フィールをより細かく制御できます。

 

ムービー レンダリング グラフ

Unreal Engine 5.4 で実験的機能として導入されたムービー レンダリング グラフ (MRG) も、このリリースでベータ版に移行し、グラフベースの構成ワークフローにさらなる改善が行われました。これにより、カスタム EXR メタデータの使用などのワークフローの改善、コレクション内の Spawnables (スポーン可能なもの) のサポートを含む初期のユーザー フィードバックに基づく改良、オブジェクト ID のサポートなど、従来のプリセット構成との整合性の向上が実現しました。

さらに、透過オブジェクト、Niagara FX、異種ボリューム、ランドスケープ、空の大気などすべてのアセット タイプが、MRG のレンダリング レイヤー機能で完全にサポートされ、天球を使用する必要がなくなりました。

 

最後に、MRG でパス トレーサー用の実験的機能である時空間ノイズ除去が新しく利用できるようになりました。これを使用すると、線形シーケンスに対して高品質の結果を生成できます。

 

MegaLight

このリリースでは、MegaLights と呼ばれる実験的機能も少しだけ紹介されています。すでに「ライトの Nanite」と呼ばれている MegaLights を使用すると、シーンに動的シャドウを落とす何百ものライトを制約なしに追加できます。これにより、ライティング アーティストは初めて、パフォーマンスへの影響ではなく芸術的な観点を重視して、コンソールと PC 上でソフト シャドウ、Light 関数、メディアテクスチャの再生、ボリュメトリック シャドウを備えたテクスチャ エリア ライトを自由に使用できるようになります。

 

 

バーチャル プロダクション

Unreal Engine は、バーチャル プロダクション革命の最前線に立っています。専用のインカメラのビジュアル エフェクト (ICVFX) ツールセットを備えており、世界中の映画、テレビ、コマーシャルのさまざまな制作現場で活用されているためです。UE 5.5 では、複数のリリースにわたる取り組みの積み重ねにより、ICVFX ツールセットが完全にプロダクション対応になったほか、バーチャル プロダクションとビジュアライゼーションのためのその他の機能も進歩しています。

 

SMPTE 2110

一例として、Unreal Engine の SMPTE 2110 のサポートが挙げられます。安定性を向上させる数多くの改善、フレームロック損失の自動検出と修復、Timecode Provider としての PTP の使用、2110 メディアの OCIO のサポート、IP ビデオ信号フローのその他の改善が行われました。それにより、SMPTE 2110 デプロイメントへの移行を進める、現実世界の ICVFX プロジェクトのニーズを満たせるようになりました。

 

カメラのキャリブレーション

また UE 5.5 では、レンズとカメラのパラメータ推定の精度が大幅に向上したカメラ キャリブレーション ソルバーもプロダクション対応になりました。この結果、オーバースキャンがすべてのカメラに組み込まれ、レンズ歪みのあるレンダリングや、ポストでカメラの揺れを追加するといったユース ケースがサポートされるようになりました。

 

バーチャル スカウティング

次にプロダクション対応になるのは、UE 5.4 で導入された更新されたバーチャル スカウティング ツールセットが挙げられます。これは、OpenXR 互換の HMD (Oculus と Valve Index はデフォルトでサポートされています) を使用した強力かつすぐに利用可能なエクスペリエンスと、広範な API を活用した新たなカスタマイズが可能です。このツールセットには、新しい VR コンテンツ ブラウザとアセット配置、ブループリントでカスタマイズ可能なトランスフォーム ギズモや、色補正されたビューファインダーなどのさらなる改良も含まれています。

 

カラー グレーディング パネル

以前は ICVFX Editor の一部であったカラー グレーディング パネルが、Unreal Editor でも一般利用できるようになりました。カラー グレーディング パネルは、Unreal Engine のあらゆるシーンでクリエイティブなカラー操作を行える、アーティストにとって使いやすいリッチなインターフェースを備えています。強化されたカラー グレーディングを使用できるこのパネルが、nDisplay を使用するアーティストだけでなくすべてのアーティストに利用可能となりました。また、ポストプロセス ボリューム、シネ カメラ、および色補正範囲もサポートするようになりました。

 

DMX

バーチャル プロダクションだけでなく、放送やライブ イベントにも適用可能な Unreal Engine の DMX 技術スタックが、コントロール コンソール、ピクセル マッピング、競合モニターの機能強化により、プロダクション対応のツールセットのリストに加わりました。

このリリースでは、GDTF および MVR 対応の制御デバイスおよびソフトウェアとのインターフェース用の DMX プラグインに GDTF 準拠が追加されたほか、その他のいくつかの機能強化も行われています。

 

 

モバイルゲーム開発

プラットフォーム面では、Unreal Engine をモバイルおよびクロスプラットフォームの AAA ゲーム開発に最適なエンジンとして確立することを目指して、モバイルのサポートに取り組んできました。

モバイル フォワード レンダラには、プラットフォーム上の視覚的な忠実度を向上させる多数の新機能が搭載されています。そして、D バッファ デカール、矩形エリア ライト、カプセル シャドウ、ポイント、スポット ライト用の移動可能な IES テクスチャ、ボリュメトリック フォグ、および Niagara パーティクル ライトがサポートされるようになりました。スクリーン空間の反射が、モバイル フォワード レンダラとディファード レンダラの両方で機能するようになりました。

 

さらに、Unreal Engine 5.4 で導入されたランタイム自動 PSO (Pipeline State Object) プリキャッシュがデフォルトで有効になりました。それにより、PSO 収集を手動ではなく、より高速で簡単な方法で行えるようになります。

一方、このリリースでは、モバイル プレビューアにモバイル ゲームのコンテンツ開発に役立ついくつかの改善が加えられています。これには、特定の Android デバイス プロファイルをキャプチャしてプレビューする機能や、半精度 16 ビット浮動小数点シェーダーをエミュレートする機能が含まれており、アーティファクトの検出と処理が容易になります。

 

 

デベロッパーのイテレーション

Unreal Engine 5.5 では、開発者のイテレーション高速化と効率向上による結果品質の向上と、クリエイター エクスペリエンスの規模と要望の拡大への対応のため、Unreal Engine のデータ処理パイプラインの基盤を継続的に進化させています。

Unreal Engine 5.4 で、最適化された新しいキャッシュ データ ストレージおよびネットワーク通信アーキテクチャとして導入された Unreal Zen Server が共有派生データ キャッシュ (DDC) としてデプロイできるようになり、プロダクション対応 になりました。

このリリースでは、Zen Server は PC やコンソールからモバイルまでの全体にわたり、クック済みのデータをターゲット プラットフォームにストリーミングできるようになっています。この新しい実験的機能により、開発者は開発中にコンソールからモバイルまでの全体で、ターゲット プラットフォーム上のゲームの外観と動作をより迅速かつ簡単に評価できるようになります。

 

 

このリリースでは、エディタ システムとクック プロセス向けに最適化されたアセット読み込みパスを提供する Unreal Zen Loader、C++ とシェーダーのコンパイルを高速化する Unreal Build Accelerator (UBA)*、より効率的でスケーラブルな開発ワークフローを実現する Unreal Horde - 継続的インテグレーションおよびリモート実行など、いくつかの追加機能もプロダクション対応になりました。

 

Fab の統合

先月、新しい統合コンテンツ マーケットプレイスである Fab を事業開始したことをアナウンスしました。Fab は Unreal Engine 5.5 に統合されています。Quixel Megascans などの個々のアセットをシーンに直接ドラッグ アンド ドロップできます。Fab からコンテンツ ブラウザにアセット パックを追加することもできます。

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