映画「海獣の子供」のメイキング記事が公開されてます。制作はSTUDIO4℃。映像の評価が高そうなので本編が見たい。
https://cgworld.jp/feature/201906-kaiju-no-kodomo01.html
http://cgworld.jp/feature/201907-kaiju-no-kodomo02.html
https://cgworld.jp/feature/201908-kaiju-no-kodomo03.html
海洋生物~「生命」を生み出すデザイナーたちの試行錯誤
海と空とジュゴンは作画で、まわりを泳いでいる魚はCG。
アニメーションモデルとローモデル。
ライオンフィッシュミノカサゴの設定画とCGによるライオンフィッシュミノカサゴ。
CGによる魚群。ループしたアニメーションをMayaのnParticleのInstancerでコントロール。デフォーマでモデルの形を変形。
手描きの線とパーティクルのハイブリッド。パーティクルでコントロールする魚群に加え、手描きの線や1匹1匹アニメ-ションをつけているCGの魚も混ぜている。
カットごとに組まれたヴィーナスのセットアップの一部。
ザトウクジラはCGと作画のハイブリット。作画監督の線に合わせるため、腹部や顔などの本当のクジラにはありえないところにも骨を入れ、ラフのシルエットにピッタリと合わせられるセットアップをつくった。
ヴィーナスはレンダリングせずにプレイブラストを使用した。MayaのSOuPというプラグインを使い、テクスチャをその場で動かせるように工夫。レイブラストはAfter Effectsで加工している。
作画と見分けがつかないほど馴染んだCGによる海洋生物
途方もない手間がかけられたヴィーナスのカット
作画LO
ラフ原画
CLIP STUDIO PAINTでクリンナップしたもの
プレイブラストの出力結果。テクスチャは基本的に4Kで描いているが、ザトウクジラは8K。
AEでの調整作業。AEの「ゆがみエフェクト」を用いて、作画LOのシルエットに合わせる等の微調整を、1コマ1コマで行なっていく。
プレイブラストではラインが出ないため、CLIP STUDIO PAINTでラインを描く。
CGのヴィーナス、作画の水、背景の素組み。
完成画
ヴィーナスを構成している素材。
パーティクルで制御された魚群1
イワシのループアニメーションモデル。MayaのnParticleのInstancerという機能で制御されている。単純に泳がせるだけでなく、パーティクルのデフォーマという機能で、身体の太さや長さを同時に変化させ、生物らしい柔らかな印象を与えられるように工夫された。
複数のCurve Flowを作成してアニメーションさせている。
パーティクルで制御された魚群2
作画LOの通りにCurve Flowを作成し、このCurve Flowに沿ってパーティクルがながれていく。Curve FlowのCurveとFlowのControl_curveをアニメーションした。異なるCurve Flowごとに、パーティクルの色が分かれている。
作画LOの形に合わせるために、作画マスクでInstancerのパス(軌道)を調整した。さらに、目立つ魚は作画LO通りに3Dモデルを貼り込んでいる。また、魚感が足りないときは、魚群が泳いでいるところにCGの魚の連番素材(2D状態のもの)を出し、コンポジットで追加して対応しているとのこと。
NGとなった魚群の例
作画による、魚群の参考アニメーション
作品世界に溶け込む海~カットごとに手法を変えて対応する~
波の動きが「海に見えない」というところが、最初にぶつかった壁でした。初期の海と最終的な海。
シチュエーション
カメラマップ~観ている視聴者に驚きを与えるびっくり箱~
本作のカメラマップは20カット。BGは後で調整することも考慮して、細かくレイヤーを分けている。それらをカメラマップを担当するスタッフが整理しながら作業を進めた。
美術素材発注用のガイドと完成背景
基本的に3DLOはない。CGは綺麗にパースがとれすぎてしまう。作画のレイアウトだと、人間の捉える空間の歪みが自然と出るので、それをベースにCGを当て込んだ方が面白いものになる。そこで本作は、ほぼ全てのカットで作画レイアウトを切ってもらった。
建物が26個あって、基本的に板に美術素材を貼っています。屋根で斜めの部分は板も斜めにつくって、その集合体が街になるというイメージ。
メイン舞台となる「海」の表現にたどり着くまでの変遷
波の表現1
Mayaの作業画面
波の表現2
海面素材のレイヤー構造。波の素材を段差(高さ)ごとに分けている。
Maya上での作業画面
波の表現3
Mayaの作業画面
カメラマップを用いた背景制作
CGで描く有機的な海
神秘的な宇宙~2D的な手法でたどり着いた表現~
After Effectsを軸に一連のカットをつくった。
クジラが海に漂う銀河を吸引するシーンは逆再生。
STUDIO4℃の真骨頂~精鋭スタッフたちの祭り~
3Dモデルのシルエットを崩して、漫画的なラインになるようにしている。
ヴィーナス(シロナガスクジラ)にまとわりつく水の作画