アニメ『チェンソーマン』のメイキング記事が公開されています。
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主人公・チェンソーマンほか悪魔や背景などを3DCGで表現
「作画に寄せた3DCGにしたい」という監督からのオーダーを受けたCGチームは、作画との馴染みを意識したモデリング、カット制作を行なっていった。
こだわりのデザインを細部に宿した3Dモデル
従来は撮影工程で乗せていた特殊効果をあらかじめ3Dモデルに組み込んでおくという、MAPPAとしては珍しい手法。チェンソーマンの首のチェーン1本1本や、スニーカーの靴紐にまでリグが仕込まれている。
制作ツールは、3ds Max 2022、Photoshop 2021、Substance 3D Painter 2021、Pencil+ 4(4.2.0)。悪魔3体はZBrush 2021で造形。
主人公・デンジ(チェンソーマン)のモデリング。
キャラクターデザイナーによる緻密なディレクション。詳細なディレクションが17枚にわたって描かれており、白黒2値化する際の線のドット数まで丁寧に指示。
布の柔らかなシルエットをCloth Deformで表現。シルエットが硬くなりがちな3Dモデルの形を崩すという意味では有用で、ルックに良い影響を与えている。
回転するチェンソーの刃は3Dモデルで表現。回転するチェンソーの刃は、テクスチャアニメーションを利用した方が簡単に思えるが、そうすると正面から見たときにチェンソーの厚みがなくなってしまう。そのため、3Dモデルを使って表現された。
3Dモデルに組み込んだ特効質感。
Substance 3D Painterで作成し、細かい部分はPhotoshopで仕上げた。
3段階のLODモデル。
デンジの因縁の宿敵サムライソードのモデリング。左右非対称にシワを刻んで自然さを表現した。
カース・蛇の悪魔・幽霊の悪魔のモデル。
ねらい通りの動きを実現させるチェンソーマンのリグ。
3DCGと作画が協調し合うことで生み出される表現力
CGカットのアニメーション制作には、作画先行とCG先行の両フローが存在していた。派手なアクションシーンは作画で、じっくり見せるシーンや丁寧な芝居のカットは3DCG。
ナレッジマネジメントツール「Qast」の活用。
本作では「Qast」というクラウド型のナレッジマネジメントツールを導入。MAPPAのCGチーム内の共有事項、例えばレタッチの手法や新しく発見したTips、モデルのリリース連絡、作品ごとのQ&Aなどはこのツールに一本化している。
カットに応じたCG先行と作画先行のワークフロー。本作ではCG先行と作画先行の両ワークフローが混在していた。CG先行はCG側でゼロから動きを組み立てていくかたちになるが、その際には前半話数の作画カットを参考にしている。
CG先行
作画先行
CGだと気づかせないカメラマップの長尺カット。
レタッチによるルックのクオリティアップ。
CGアニメーターが手描きでエフェクトを描き加えてクオリティアップをした例。本作ではカット担当者が自主的に手を加えることも多かったという。
シーンの空気感と雰囲気を匂い立たせるフィルタワーク
本作の撮影工程は、コンテ撮、レイアウト撮、タイミング撮、本撮といった一般的なながれの次に、必ずフィルタ処理が追加されている。
撮影のながれ。本作では、アフレコに使用するコンテ撮やレイアウト撮までは協力会社へ依頼しており、MAPPAではタイミング撮から作業を行なっている。
フィルタ処理で早朝の空気感を表現。フィルタ処理には「Magic Bullet Looks」を使用している。
“エモい”を追求した最終話ED。Bullet Looksでのグレーディングに加えて、PSOFT CelFXを使用して空気にピンク色を乗せて表現している。
撮影パートで画づくりを担ったカット。
リアリティにこだわったビールの表現。
最終話クライマックスのチェンソーマンVSサムライソード
この一連のカットは監督からも「作品内で最強のカットにしたい」と期待を寄せられていた。
3DCGでつくり上げた電車とビル群 。
完成した戦いの舞台。この電車のシーンは原作にはないアニメオリジナルのため、監督の要望を受けてCGチームがゼロから制作した。
手に汗握る見せ場のアクションシーン。ブレードの軌跡やオバケなど、エフェクトを多数盛り込んでいる。
臨場感を高めるエフェクト処理。