『進撃の巨人』The Final Seasonのメイキング記事が公開されています。
https://cgworld.jp/feature/202104-shingekifs-policy.html
https://cgworld.jp/feature/202104-shingekifs-cmp.html
https://cgworld.jp/feature/202104-shingekifs-2dwrks.html
CGは絵筆のひとつに過ぎない、MAPPA流で終章を描く【制作方針】
最終的な画面において作画とCGが分離しないような画づくりを目指しているので、CGのコマ打ちも作画に合わせるようにしています。
これまでのシリーズでは作画で描かれていた巨人をCGで描くという手法を採っている。その意図について聞くと、「原作を読むと、このシリーズでは何体もの巨人が現れ、お互いが格闘する展開があります。それらをCGでモデリングすれば形を保ったまま様々な角度で描くことができるだろうと考えました。また、作画の負担を減らすこともできます。原作の諫山(創)先生は、人体標本を参考に筋肉感を意識して巨人を描かれているので、アニメでもそれを踏襲し、ウソなく綺麗な肉体を描こうと思いました」
アニメ文脈におけるシネマティック【撮影】
陰影部分のタッチ線表現
原作特有の表現である、目もとなどに入るタッチ線。これらは動画で中割りするのが難しく、撮影で描画することになった。最初に作画の2影部分をタッチに差し替えるテストを行なったがしっくりこなかったため、2影とは別にタッチ部分のマスクを作画して処理した。
煙が立ち込める戦場の雰囲気
戦場シーンには実写の煙素材を合成して、煙の立ち込める戦場のリアルな雰囲気を表現した。
作画エフェクトと3Dセルに撮影エフェクトを追加
作画でエフェクトが描かれているシーンや3Dセルに対しても、撮影エフェクトを合成して奥行きのある撮影処理に仕上げた。
新聞の2D素材の貼り込み
新聞に記事の2D素材を貼り込むのも撮影の工程。なお、このシーンでは路地上部を光源としてエッジにハイライトを足してある。
3Dセルのカラー処理とフレア追加
3Dセルは納品時には全てノーマルカラーであり、撮影時にシーンカラーを適用する。水晶体内部のキャラクターは3D内で貼り込んで出力。強く光る箇所は横に伸びるフレアを加味している。
3Dモブキャラのスモーク処理
充血した目の血管の追加
巨人体内の質感表現
知られざる、世界観を支える重職【2Dワークス】
作品を一段上に押し上げる丁寧で緻密なデザインワーク
本作の2Dデザインでユニークなものとして時計の文字盤(数字)用のフォントが挙げられる。原作者サイドの「漢数字を取り入れてほしい」というオーダーを受け、漢数字を反転して45度傾けたものをベースにデザイン。
様々な言語で書かれているという想定で、それぞれ書体やレイアウト、組み方向などを変えてデザインした。
漢数字をベースにデザインした文字盤
これまで原作では算用数字が登場したことはなかった。今回、時計と時間の経過を示す必要があるカットが発生したため、原作サイドより「漢数字を逆さにして傾けたものを使用する」という文字の運用ルールが提供された。
現実味のある各種資料とスケッチ
オーダー「軍の資料」「研究者のスケッチ」。素材は主に設定を流用し、足りない部分を新規で起こしてもらった。
3DCGで作成した食器のテクスチャ素材
一見大判の画で2Dズームしているように見えるが、実写映画のドリーイン的なカメラワークが用いられ た。これを実現するために、キャラをはじめ作画(2D)主体のカットだがテーブル上の食器は全て3DCGで作成。