ヨルシカMV『左右盲』のメイキング記事が公開されています。
https://cgworld.jp/article/202205-moriemv.html
引き算的手法でたどり着いた大人っぽいMORIE流ルック
一見アニメっぽいルックだが、キャラクターだけではなく背景にもアウトラインを描画しているのが特徴的。これは新版画の手法を参考にし。
①森江氏によるイメージボードの変遷
②ルックの着想を得た新版画
明治から昭和にかけて活躍した吉田 博(1876~1950)の作品。江戸時代の浮世絵のような版画とはちがい、刷り色にぼかしが入っている。
③イメージボードを起点としたシンプルなワークフロー
キャラクターと背景モデルの制作、仮モデルを使ったレイアウトとアニメーション作業が同時進行で進められた。3Dモデルが完成したらモデルを置き換え、アニメーションを仕上げて、いったんコマを2コマ打ちに落とし、3K 12fpsでレンダリング。本作はワンカットということもあり、After Effectsでコンポジットを行い、そのままオンライン編集まで進むが、このときに4K 24fpsにアップコンバートを行い納品している
イメージボードを3DCGアニメーションとして緻密に再現
イメージボードのPhotoshopデータをAEで再現するところから始め、女性や猫、植物、カーテン、壁に貼られた紙など、アニメーションさせるものや、女性と干渉するテーブルや椅子などを個別に3DCGで置き換えている。
本作のルックの特徴であるアウトラインや手描き風のライン表現のため、Pencil+ 4でアウトラインを出しつつ、服の皺や髪の毛に出るラインにはシェイプのオブジェクトを配置。繊細なルックに仕上げている。
①AE上でイメージボードを再現
②2Dのイメージボードに3Dオブジェクトを混ぜ込む
3Dオブジェクトとしてレンダリングし、コンポジットしている部分を赤で表示。青い部分は森江氏が作成したイメージボードをそのまま使用した
③キャラクターのモデリングとルックデヴ
イメージボードのルックに沿ってMayaで3Dモデル化。
服や髪にはディティールを追加するため、ラインをカーブオブジェクトで配置した
④室内に降り注ぐライティングも 3DCGで置き換える
コンポジットとオンライン編集で唯一無二のルックをつくる
3DCGっぽさを極力緩和させるというルックの方向性に沿って、明るさを落としたり、色を乗せて全体的なライティングを調整したり、レンズの歪みやビネット、グレインを加えたりしていった。
①背景とキャラクターのコンポジットのながれ
②オンライン編集で大人っぽいルックに仕上げる
③天気の変化もオンライン編集で表現