『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』のメイキング記事が公開されています。
https://cgworld.jp/article/202308-psycho-pass-01.html
https://cgworld.jp/article/202308-psycho-pass-02.html
3DCGによるメカのギミックや空戦シーンに注目!
メインツールは3ds Maxで、エフェクトや海、雲海などにはHoudiniとBlenderも使用している。
修正を重ね品質を高めていくモデリング&ルックデヴ
GEMBAは本作における画づくりの方向性として、グローツラング号とラファエルではフォトリアリスティックな表現を提案。また、寄りと引きをひとつのモデルで対応できるよう、テクスチャはプロシージャルをベースに作成された。
グローツラング号のモデリング。
実写寄りに仕上げたグローツラング号の汚し表現。テクスチャは寄りに耐えられるよう、パーツ単位でプロシージャルをベースに制作された。
高高度気球型中継器ラファエルのモデリング。
ラファエルの鏡面質感と映り込み表現。
破壊されたラファエルのモデル。
丁寧につくり込んだ弾痕のモデル。
兵員輸送機ミカエルのモデリング。テクスチャは描き込まず、セル調のシェーディングに反射やアンビエントオクルージョンなどの素材を乗せるという従来の方法で仕上げられた。
tyFlowをモブキャラのアニメーションに活用
モブ向けマテリアル作成の効率化。
バリエーションの切り替え。
tyFlowモブアセットの作成。形状と色のバリエーション分のフェイスIDを変えながらキャラモデルを複製するが、その数は出島のシーンでは約90種類、お祭りのシーンでは約150種類にのぼった。
tyFlow群衆シーンとモーション管理。tyActorにより参照するモーションを時間ごとに区切り、それぞれをイベントに応じて個別に適用。
tyFlow群衆シーン、およびレンダー用シーンデータ作成。tyFlowのシミュレーション用のシーンとレンダー用のシーンは別個に作成された。これによりキャッシュの容量削減のためにカメラから見えない余分なparticleを削減できた。
完成ショット。モブが配置されたお祭りのシーン。150種類以上のキャラクターを生成しており、演者と観客を合わせると2,000人を超えている。
動きの整合性と演出を兼ね備えたギミック表現
兵員輸送機ミカエルのハッチ開閉ギミック。
ミカエルの動きを特徴づける脚部収納ギミック。
フル3Dで描き出した空戦のアニメーション&エフェクト
背景の雲海もはじめから3DCGでつくり上げてほしいとの要望を受けて、フル3DCGで制作された。
Google Jamboardを活用した演出の打ち合わせ。にチーム内で共有して意思の疎通を図った。
空戦のアニメーション制作。カメラを載せた飛行機が被写体のドローンを追うという設定のカメラワークで、被写体の急な動きにワンテンポ遅れて反応するなど、ライブ感あるカットとなっている。
エフェクトで演出する空戦のスピード感。After Effectsでのコンポジット時に、スピード感を演出するエフェクトが追加されている。
雲海制作にはBlenderと3ds Maxを活用。雲海は制作時間と品質のバランスがとりやすいという理由から、制作の一部にBlenderを採用。
3ds Maxとのやりとりで言うと、座標のスケールによってレンダリングで出力されるルックが大きくちがうなど、クセを理解するのに時間がかかりました。それでも、コツを掴めばこれまで使ってきたFumeFXやFluidに比べてレンダリング時間がかなり短縮できます。