アニメ『ULTRAMAN』ファイナルシーズンのメイキング記事が公開されています。
https://cgworld.jp/article/202307-ultraman.html
これまでに蓄積されたノウハウを活かすシリーズ集大成
カラースクリプトを活用した荒牧監督の世界観設計
グレーディングについては『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』(2022)の制作時に社内の設備を整えて運用した実績があり、そこで手応えを感じていたことから、本作でも社内で行うことを決めた。影のチェックには、ラフモデルに影を入れただけの素材を、コンポジットに渡す前にディレクターがチェックするというワークフロー。
ファイナルシーズンから採用されたカラースクリプト
カラースクリプトとは、昼か夜かなどの時間のちがい、色味、カットの雰囲気などを現場の各部署で共有するために用意する色の資料。本作では1話につき50枚前後のカラースクリプトが描かれている。
原作の大ファンが情熱を込めたウルトラマンスーツのモデル
反射が強いマテリアルのモデルではシワが強めに見えてしまうので、まるで工業製品のような平滑性のあるモデリングを心がけた。
最終形態のウルトラマンスーツ
女性異星人バルキュアのモデル
ファン目線を活かしたモデル監修
90年代の変身ヒロインアニメに着想を得た変身エフェクト
これまでの変身シーンとはニュアンスを変えたいという荒牧監督からの要望に沿って、レナの設定であるアイドルらしさをエフェクトで表現した。
壮大でキュートなレナの変身シーン
90年代変身ヒロインアニメに着想を得たこのエフェクトは、2種類のリボン、複数のパーティクル、背景、切り替わるボディ内の模様などを複雑にコンポジットしている。アイドルらしい演出をということで、色合いや紙吹雪のような派手なエフェクトも散りばめている。エフェクトはHoudiniで制作され、1カット4~5日ほどかけてノードを組んだとのこと。DCCツールとのデータのやり取りはAlembicを使用した
リボンの動きをHoudiniで制御する
多数のエフェクトを散りばめたコンポジット
実写の技法を応用した空気感のあるライティング
本作では、特に雨上がりのシーンなどで顕著なフォグを使った空気感の演出を新たに採用。ライティングチームがMaya上でFluidを作成し、ボリュームのサイズや位置を制御してつくりきっている。
フォグを使用した空気感の演出
夕刻のビル屋上をライティングで彩る
プラグインを活用したコンポジットでの細かな演出
コンポジットにおける新しい試みは、After Effects上でUVマッピングを利用できるプラグイン「RE:Map」の導入と「Fractal Noise 3D」プラグインでフォグを追加したことだ。
ゼットンの顔面の発光表現
オレンジ色に光るゼットンの顔はAEプラグイン「RE:Map」を利用してUVアニメーションで表現した。
巨大怪獣にフォグを足してその大きさを表現
コンポジットのフェーズからMayaに手戻りすることなく調整できるように、AEプラグイン「Fractal Noise 3D」でフォグを作成し、コンポ上で細かく調整しながら仕上げた。